シングルマザーにとって、とてもありがたい手当の1つ「児童扶養手当(通称:母子手当)」。
手続きをしてから、実際にもらえる金額についての通知が届くまでに1か月ほどかかります。
いくらもらえるのか気になりますよね。
また、転職や昇給などで年収に変動がある場合、
児童扶養手当にどの程度影響がでるのか気になりませんか?
ある程度の目安だけわかればよいんだけど
そこで、児童扶養手当について、難しいことがわからなくてもある程度の金額がわかるように、代表的なケースで年収・児童扶養手当の金額を計算してみました。
もちろん計算方法もまとめています。
とにかくざっくりと自分がいくらもらえるのか知りたいなら、「【2021年版】年収別に一発確認!児童扶養手当はいくらもらえる?」が手っ取り早く確認できます。
- 児童扶養手当がもらえない年収と満額もらえる年収
- 所得の難しい計算はしなくてもだいたいの年収で児童扶養手当のざっくりとした金額
- 児童扶養手当の条件と計算方法
児童扶養手当がもらえない年収と満額もらえる年収
児童扶養手当で気になる年収ラインは、主に2つありますよね。
- 児童扶養手当がもらえない年収ライン
- 児童扶養手当が満額もらえなくなる年収ライン
児童扶養手当がもらえない年収はいくら?
児童扶養手当がもらえない年収は、下記の条件によって変わります。
- 18歳未満の子供の人数
- 前年の自分の扶養家族の人数
例えば、18歳未満の子供の人数が1名、前年の自分の扶養家族の人数が1名の場合、児童扶養手当がもらえない年収は365万円超えとなります。
ただ、同じく18歳未満の子供が1名でも、前年は子供を元旦那さんの扶養に入っていて扶養家族が0人だった場合は、児童扶養手当がもらえない年収は311万4千円超えとなります。
子供の人数=前年の扶養家族の人数の場合は、下記のとおりです。
- 子供が1名の場合
⇒前年の年収365万円(手取り月収:約30万円) - 子供が2名の場合
⇒前年の年収412万5千円(手取り月収:約34万円) - 子供が3名の場合
⇒前年の年収460万円(手取り月収:約38万円)
参考:厚生労働省:経済的支援
■所得制限限度額表
扶養親族等の数 | 一部支給 収入ベース (円) |
一部支給 所得ベース (円) |
孤児等の養育者/配偶者/扶養義務者 収入ベース (円) |
孤児等の養育者/配偶者/扶養義務者 所得ベース (円) |
0 | 3,114,000 | 1,920,000 | 3,725,000 | 2,360,000 |
1 | 3,650,000 | 2,300,000 | 4,200,000 | 2,740,000 |
2 | 4,125,000 | 2,680,000 | 4,675,000 | 3,120,000 |
3 | 4,600,000 | 3,060,000 | 5,150,000 | 3,500,000 |
4 | 5,075,000 | 3,440,000 | 5,625,000 | 3,880,000 |
5 | 5,550,000 | 3,820,000 | 6,100,000 | 4,260,000 |
ただし、児童扶養手当は控除できる額によって、上記の年収を超えてももらえるケースもあります。
詳しくは、「児童扶養手当(母子手当)の裏ワザ!27万円手取がアップする簡単な方法」でご紹介しています。
養育費も収入に含まれる
注意したい点は、養育費をもらっている場合は収入に含まれます。
養育費がある場合は、上記表の基準年収から養育費の8割を引いた金額が、就労収入の限度額の目安となります。
例えば年間50万円の養育費を受け取っていたら、養育費は年額の8割の加算して計算されますので50万×80%の40万円を基準の収入ベースから減算する必要があります。
児童扶養手当の範囲に入っている方が受け取れる「193万円の給付金」についてはこちらの記事で解説しています。
児童扶養手当(母子手当)を満額もらうには年収いくらまで?
児童扶養手当が満額がもらえる年収のボーダーラインは、子供の数によって変わります。
- 子供が1名の場合
⇒前年の年収160万円(手取り月収:約13万円) - 子供が2名の場合
⇒前年の年収215万7千円(手取り月収:約18万円) - 子供が3名の場合
⇒前年の年収270万円(手取り月収:約22万円)
■所得制限限度額表
扶養親族等の数 | 全部支給 収入ベース (円) |
全部支給 所得ベース (円) |
0 | 1,220,000 | 490,000 |
1 | 1,600,000 | 870,000 |
2 | 2,157,000 | 1,250,000 |
3 | 2,700,000 | 1,630,000 |
4 | 3,243,000 | 2,010,000 |
5 | 3,763,000 | 2,390,000 |
ただし、シングルマザーになったばかりで、前年はお子さんが元旦那の扶養に入っていた場合は、
お子様の数に関わらず、前年の年収およそ122万円がボーダーラインになります。
※お子様の数というのは、あなた自身の扶養家族となっているお子様の数になります。
もし、お子様が元旦那の扶養に入っているのであれば、そのお子様の数は除いてください。
次の児童扶養手当の金額が変わるタイミングは2023年1月振込分から
児童扶養手当は、シングルマザーにとってとても助かる手当です。
ただし年収によってもらえる金額が変わるため、事前にしっかりと計算しておくことが、家計管理には必要ですよね。
2021年の年収によって児童扶養手当の金額が変わるのは、2023年1月支給分からとなります。
*2019年11月より支給月が2か月に1回となりました!
奇数月に、2か月分が支給されます。
児童扶養手当(母子手当)を詳しく解説!
そもそも児童扶養手当がもらえるのか不安。
計算方法を詳しく知りたいあなたに、児童扶養手当について詳しく解説していきますね。
https://sana37.info/zidohuyoteate_joken/
児童扶養手当をもらうことができる条件
細かい部分は自治体によって違いがあるかもしれませんが、下記のケースの場合に手当を受けることができます。
- 父母が婚姻を解消した児童
- 父または母が死亡した児童
- 父または母が重度の障害者である児童
- 父または母の生死が明らかでない児童
- 父または母が引き続き1年以上遺棄している児童
- 父または母が引き続き1年以上拘禁されている児童
- 婚姻によらないで生まれた児童
- 父または母が保護命令を受けた児童
注意が必要なのが、離婚直後のケース。
離婚はしても一緒に住んでいたり、住民票を変更せずにいると手当は受けられません。
離婚をして、元旦那or嫁と別居&住民票を異動したうえで申請をしてくださいね。
この他にも、実家に住んでいる場合、日本に居住していない場合、彼氏や彼女と同居している場合など受給できない要件が他にもあります。
自分の子供が対象になるのかどうか不安な場合はお住いの自治体にご相談ください。
また申請日より過去の分をさかのぼってもらうことはできません。
児童扶養手当を受けることができる条件を満たしたら、なるべく早く手続きに行きましょう。
申請手続きをした翌月分から支給されます。
例:8月に申請手続きをした場合
9月~10月分⇒11月に振込
児童扶養手当(母子手当)をもらえる期間
児童扶養手当は、子どもが18歳になった年度末(3月31日)まで受給できます。
なお子どもに一定の障害がある場合は、20歳になるまで受給できます。
児童扶養手当の月額
※2022年度
子供の数 | 全部支給額 | 一部支給額 |
---|---|---|
1人目 | 45,500円 | 45,490円~10,740円 (所得に応じて10円刻み) |
2人目 | 10,750円 | 5,380円から10,740円 (所得に応じて10円刻み) |
3人目以降(1人につき) | 6,450円 | 3,230円から6,440円 (所得に応じて10円刻み) |
1人なら 最大45,500円、
2人なら 最大56,250円、
3人なら 最大62,700円
受給できるってことですね。
児童扶養手当(母子手当)の計算方法
計算方法は4段階あります。
1つずつ見てみましょう。
①前年の所得を計算
新規で申請する場合、所得を計算する期間が申請する月によって所得を計算する年が変わります。
1月~6月・・・前々年(申請R3年6月⇒R1/1/1~R1/12/31の所得)
7月~12月・・・前年(例:申請R3年10月⇒R2/1/1~R2/12/31の所得)
なお、新規で申請後は毎年8月に現況届を役所に直接出しに行く必要があります(郵送不可)
そのため、新規の申請時以外は所得の計算は前年分になります。
年収とは一般的には税込(社会保険など引かれる前の金額)金額のことを言います。
所得は年収から社会保険料などを差し引いたもののことです。
<会社員・アルバイト・パートなどの場合>
源泉徴収票を見るのが一番わかりやすいです。
赤く囲った部分です。
アルバイトやパートの場合、源泉徴収がないケースやあっても年末調整を勤め先がしてくれないケースもあります。
その場合は、▶<源泉徴収票がない or お給料が月8万8千円未満の場合>もご確認ください。
<自営業の場合>
収入金額から必要経費を差し引いた後の金額が「所得」となります。
<源泉徴収票がない or お給料が月8万8千円未満の場合>
正社員・パート・アルバイトなどの雇用形態問わず、給与をもらっていて扶養控除等申告書を提出しているのであれば年末調整はしているはずです。
これはお給料が月88,000円未満で源泉徴収がなくても同じことです。
もし源泉徴収票が手元にないのであれば、次の表を見ながら計算してみましょう。
年収は給与明細でいろいろ引かれる前の金額です。
交通費をもらっている場合は、交通費は差し引いた上で計算してみてください。
給与所得 = 年収 - 給与所得控除額
年収 | 給与所得控除額 |
---|---|
162.5万円まで | 55万円 |
162.5万円超~180万円まで | 収入金額×40%-10万円 |
180万円超360万円まで | 収入金額×30%+8万円 |
360万円超~660万円まで | 収入金額×20%+44万円 |
660万円超~850万円まで | 収入金額×10%+110万円 |
850万円超~ | 195万円 |
扶養控除等申告書を提出した記憶がない、もしくはお給料が月額88000円未満なのに税金が引かれている場合はまずはそちらをどうにかすることが先決かもしれません。
②児童扶養手当上の所得を計算
前年の所得がわかったら、次の計算をしてみましょう。
言葉が同じなのでわかりにくいですが、児童扶養手当の計算をする上での「所得」をさらに計算する必要があります。
児童扶養手当計算上の「所得」
=①前年の所得+養育費8割-8万円【※】-各種控除
※社会保険料控除に相当するもので全ての人に適用されます。児童扶養手当には社会保険料控除・生命保険料控除・地震保険料控除はありません。
<養育費>
養育費は「前年の所得」を計算したときの年に実際にもらった金額の8割を加算する必要があります。
養育費を一括でもらっている場合、「前年の所得」を計算した年以外にもらったのであれば計算に入れる必要はありません。
ご参考までに。
養育費/月 | 加算額 |
---|---|
1万円 | 96,000円 |
2万円 | 192,000円 |
3万円 | 288,000円 |
4万円 | 384,000円 |
5万円 | 480,000円 |
<各種控除>
控除の種類 | 控除額 |
---|---|
障害者控除 | 27万円 |
特別障害者控除 | 40万円 |
勤労学生控除 | 27万円 |
配偶者特別控除 雑損控除 医療費控除 小規模企業共済等掛金控除 |
控除相当額 |
- 自分は学生で所得が75万円以下・・・勤労学生控除
- 医療費がすごくかかったので確定申告をした・・・医療費控除
- 災害や盗難で損害を受けた・・・雑損控除
よくわからないのであれば、これらの控除がない可能性が高いと思います。
医療費控除や雑損控除は確定申告が必要なので、していないのであればここでは無視して大丈夫です。
なお申請者が子供の父母ではなく、子供の祖父母や里親などの養育者の場合のみ、以下について控除できます。
- 寡婦(夫)控除(一般) 27万円
- 寡婦控除(特別) 35万円
- 寡婦控除・・・27万円
- ひとり親控除・・・35万円
③児童扶養手当の所得限度額との比較
②で計算した児童扶養手当上の「所得」が、下の表の金額未満あれば児童扶養手当がもらえます。
扶養人数 | 全部支給 | 一部支給 |
---|---|---|
0人 | 49万円 | 192万円 |
1人 | 87万円 | 230万円 |
2人 | 125万円 | 268万円 |
3人 | 163万円 | 306万円 |
4人 | 201万円 | 344万円 |
5人 | 239万円 | 382万円 |
扶養人数0人とは?
例えば2022年5月に離婚したとします。
その場合、前年2021年の収入をベースに児童扶養手当の計算をするため、2021年のあなたの扶養家族の人数がどうだったのかで所得制限が決まります。
2021年はまだ結婚していたので、お子様は元ダンナさんの扶養に入っていたと思います。
その場合、あなたの扶養人数は児童扶養手当を計算する上では、0人ということになります。
未婚でお子様を産む予定の方も同じです。
2022年5月に子供が産まれた場合、当然ですが2021年の時点では子供はいなかったのであなたの扶養家族は0人となります。
まぁややこしい^^;
④児童扶養手当額の計算
ここまで計算してやっと実際にもらえる金額を計算できます。
■全部支給
1人目は45,500円。
2人目は10,750円加算、3人目以降は1人につき6,450円加算します。
子供の人数 | 児童扶養手当(月額) |
---|---|
1人 | 45,500円 |
2人 | 56,250円 |
3人 | 62,700円 |
4人 | 69,150円 |
5人 | 75,600円 |
■一部支給
手当の額 = 45,490円 -(②の所得-該当する限度額【※1】)× 0.0243007 + 2人目加算【※2】 + 3人目加算【※3】
【※1】該当する限度額は、③所得限度額一覧表の全部支給の限度額のことです。
扶養親族が0人なら49万円、1人なら87万円、2人なら125万円、3人なら163万円です。
【※2】2人目加算額・・・10,740円-(②の所得-該当する限度額)× 0.0037483
【※3】3人目以降加算額・・・6,440円-(②の所得ー該当する限度額)× 0.0022448
※計算式中の「45,490円、10,740円、6,440円」や 「0.0243007、0.0037483、0.0022448」 は、物価変動により今後改正される場合があります。
まとめ:貧乏から脱出するために抑えておくべき児童扶養手当のポイント
シングルマザーにとって、児童扶養手当は生活を安定するためには必要不可欠です。
児童扶養手当をなんとなく知っているだけだと、なにか変化があったときに対応しきれず、気づいたら家計が崩れていたということにもなりかねません。
ということで、最後にこれだけは知っておいてほしいポイントをまとめます。
- 児童扶養手当がもらえなくなる年収ラインは知っておこう。
- 児童扶養手当の金額の切り替えタイミングは毎年1月。
- シングルマザー1年目は、2年目以降より手当が少ない。
- 過去にさかのぼって受給できないから、申請はお早めに。
- 申請した翌月からが支給対象で、最初の振込は2~3か月後
- 児童扶養手当は、子供が18歳になって最初の3/31までが対象。
ひとり親向け「193万円の給付金」についてはこちらの記事で解説しています。
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