子供の父親は認知してくれそうにない。
そもそも認知って必要?
そもそも認知しないとどうなるのでしょうか。
メリット・デメリットってあるのでしょうか。
未婚シングルマザーになる決意をしたら、嫌でも考えなくてはいけないのが子供の父親の認知のこと。
私もかなり悩みました。
「認知なし、養育費なしでもよければ産んでも良い」
こんな身も蓋もない言葉を浴びせた人に認知させるのは、簡単なことではなかったからです。
認知は子供の権利。
そんなことは、わかっていますよね。
それでも、認知なしを選ぶ未婚シングルマザーは少なくありません。
この記事では、認知をしないことのメリット、デメリットについてまとめています。
- 認知をしない場合の3つデメリット
- 認知をしない場合の2つのメリット
- 認知訴訟の時効について
未婚の母が認知なしを選ぶデメリット
まずはデメリットを解説します。
養育費を要求する権利がない
未婚シングルマザーが、認知なしを選ぶ1番のデメリットは、養育費を法的に要求できないことだと思います。
認知をしていて養育費の取り決めをきちんと法的にしていれば、支払いがストップしたときに、子父の給料や財産の差し押さえなどができます。
ただし認知をして養育費を支払わなくても、民法上は罰則はありません。
だから養育費の未払いで苦しむ人がたくさんいるんだよね。
養育費を払っていない人は8割というデータもあるほどです。
裁判所などで養育費の金額を取り決めした場合は、強制執行されるため、不払いを防げる可能性は高いです。
養育費は子供の権利です。
認知のありなしに関係なく、養育費を支払うのが当たり前になってほしいものですね。
子供が父親の遺産相続の権利が得られない
子供の父親が死んだら、通常その子供には遺産相続権があります。
遺言書がない限り、法廷相続によって子供の取り分が決まっているのです。
「認知をする=自分の子供として認める」ことなので、法廷相続人にあなたの子供がなることができ、遺産を相続する権利があります。
認知なしの場合は、法的な親子関係がないため、遺産相続権もないということです。
例えば遺産が1000万円あった場合の、法定相続分はこちらとなります。
※子供がいない場合の法定相続分は省略。
子供のみ | 1000万円、全て子供が相続する |
---|---|
配偶者と子供のみ | 配偶者が1/2の500万円、残りの500万円を子供の数で割る。 子供2人なら、250万円ずつ相続する。 |
つまり子供の父親に、奥さんも子供もいない場合は、あなたの子供が唯一の遺産相続人となります。
あなた自身には相続権はないのでご注意ください。
戸籍に父親の名前がのらない
認知をすると、あなたと子供の戸籍に父親の名前が載るだけでなく、父親の戸籍にも子供の名前が載ります。
つまり認知をしなければ、お互いの戸籍に一切名前が載りません。
戸籍に名前があることで、その人の名前、父母との続柄、配偶者関係が証明されます。
つまり「戸籍にないこと=存在しないこと」となってしまいます。
戸籍上に父親の名前がないと・・・
- 子供にとって父親がいないことになる。
- 父親から与えられるはずのあらゆる権利が失われる。
ところで、戸籍って日本・中国・台湾にしか存在しないって知ってましたか?
その日本でも、戸籍制度が復活したのは明治時代で、それより前は平安時代より前に遡ります。
アメリカ・イギリス・オーストラリアでは社会保障番号という個人単位での管理しかありません。
それ以外の家族とのつながりを登録するためのものはありません。
結婚ですら住民登録をするだけです。
だからといって戸籍に父親の名前が必要ないとは言いませんが、戸籍制度について見直す議論が存在しているのも事実です。
普段は気にしたことないけどね。
未婚の母が認知なしを選ぶメリット
確かにデメリットを見ると、認知なしを選ぶ理由が見当たらないですよね。
ケースバイケースではありますが、メリットはあります。
子父に親権を取られる心配がない
認知なしを選ぶメリットの1つ目は、「子父に子供を取られる心配がない」ということです。
「認知をする=親権者」ではありません。
ただし、親権者となりうる権利は持っています。
例えばこんなケース
- 未婚シングルマザーのあなたに恋人ができた。
- 恋人にのめり込んでいて、育児がおろそかになってる。
- 見かねた子供の父親が自分が育てると決心。
この父親が親権者になるための法律家のアドバイスが以下になります。
あなたは認知した父ですが、現在、お子さんの親権者は母親である女性ですので、女性の同意なく、お子さんを引き取り、育てることはできません。
そこで、あなたが女性に代わり、親権を取得する方法を考える必要があります。あなたを親権者とすることに女性が応じない場合、あなたがお子さんの親権者となるには、家庭裁判所からお子さんの親権者として認めてもらう必要があります。
そこで、親権者指定あるいは変更の調停・審判を申し立て、手続を進めます。
引用元:デイライト法律事務所
あなたの状況によっては裁判で親権者を変更する判決が下されてしまう可能性があるのです。
あなたさえしっかりしていれば、問題はありません。
子供にとってのメリットではないからね。
負の遺産を相続しなくてすむ
認知されている子供は、父親が死んだら、遺産相続ができます。
ただし、遺産の相続は、プラスの資産だけではなくマイナスの資産(=借金)も相続することになります。
子供の父親が、以下に当てはまる場合は要注意。
子供に迷惑をかける心配があります。
- 借金くせがある。
- ギャンブル好き。
- すでに大きな負債をかかえている。
ちなみにマイナスの資産の方が多く相続したくない場合、相続を放棄することができます。
ただし父親が死んだことを知った日から3ヶ月以内に、相続放棄の手続きをする必要があります。
手続きにはお金も手間もかかります。
また子供の父親が死んだ時点で、もし奥さんや子供がいた場合、その人達と揉める可能性もあります。
将来のことはわからないけど、メリット・デメリットを踏まえてしっかり考えないとね。
認知訴訟って時効はあるの?
子供の権利とはいえ、認知を拒む男と争うのはあなたです。
それでなくても、妊娠中~出産~育児と目まぐるしく変わる環境に身体も心もぐったりする時期です。
この時期に、さらなる争い・悩み事を抱えるのは、正直つらいですよね。
その場合は、認知の争いをもう少し後回しにしてしまうのも、良いと思います。
子供が何歳でも父親が死亡後3年までは認知訴訟を起こすことができます。(民法787条)
つまり、もし父親がいま死んだとしても、3年は猶予があります。
ただし、養育費を後から請求できるかはケースバイケースです。
養育費の支払い義務が認知が確定した段階ではなく、出生時に遡って発生するという判例もあります。
後回しにしてよい問題ではないですが、悩んで前に進めないくらいなら、少しだけ後回しにして、まずは前に進んでみませんか。
認知を争わなかったことについて
確かに正論ですよね。
実際、認知を争わなかった私を、非難する人もいました。
そもそも認知をしないから父親じゃない。
戸籍上、父親じゃないから養育費を払わないって方がナンセンスに思えます。
ちなみに海外では、シングルマザーに対する支援制度がかなり充実しています。
また養育費も国が立替払いをしてくれる国もあります。
そもそも養育費で、シングルマザーが困ることが少ないのかもしれませんね。
日本では認知なしを選ぶことが、子供からさまざまな権利を奪うことに繋がります。
とは言え、認知してもらうことが、母親の義務のように言われることには疑問を感じます。
子供のためにどちらを選ぶか考えるのは、母親の義務だとは思います。
考えた結果、認知なしを選ぶのであれば、無責任な母親だとは思いません。
その分、覚悟も必要なんですから。
どちらにしても、子供を守ることができるのはあなただけです。
養育費をもらわないと生活ができない、というなら別ですが、認知だけなら後からでもできます。
一回落ち着いて、子供と一緒に笑える未来を優先してくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。